出版社: リブロポート 1982年刊 初版
201頁 , 図版多数 , オールモノクロ , 22.1×31cm
ハードカバー , 函付き , 日本語
連続写真のパイオニア、エドワード・マイブリッジからは一歩後れをとったものの、 「写真銃」 や 「クロノフォトグラフ」 といった <欧米マインド> を色濃く反映させた装置の生みの親としては、こちらがより一層興味深い フランスの生理学者エティエンヌ=ジュール・マレー Etienne-Jules Marey (1830-1904) による著書 『Le Mouvement, Paris, 1894』 の完訳。
映画のフィルムのように1コマずつ切り離し撮影されたマイブリッジの連続写真を批判し、一連の動きを1枚の写真に撮り収めることにこだわり生み出された 「クロノフォトグラフ」 。デュシャンやボッチョーニなど当時のアーティストたちに影響を与えた、まさにその <表象> に、時間と運動の新たな関係性を見出し、様々な生物の運動を科学的記述で多面的に描き出そうとした本書。
浮かれ気分の科学技術の黎明期に生まれたこの研究書を、今では時代遅れと化した装置に依って立った、ずれた科学者の戯言と取るか、あるいは、 <欧米マインド> の真摯な表現と取るか、、、、オトグスおすすめの一冊です。